タワーマンションに住むことを考える時、一番不安に感じるのは災害時にどうなるかではないでしょうか。
高層マンションが倒壊したら?エレベーターが使えなくなったら?避難はどうする?など
なかなかイメージが湧きませんよね。
首都直下地震がいつ起きてもおかしくない今、地震の備えはとても大切。
タワーマンションで地震が起きたときの対策や備えに付いてまとめました。
タワーマンションは地震で揺れる?
高さが60メートルを超えるタワーマンションは、他のマンションに比べて非常に厳しい基準の耐震性能をクリアして、国土交通省の大臣認定を受けたうえで建築されています。
タワーマンションの構造は主に「耐震構造」「制振構造」「免震構造」の3タイプ。
マンションの構造によっても、揺れ方が異なります。
耐震構造 | 建物そのものが地震に耐えられる強さで造られている(頑丈な柱・梁(はり)・壁など)。 揺れが大きく伝わるため、大地震のあとは損傷度合いを調べて修復作業が必要。 |
制振構造 | 地震のエネルギーを吸収する制振部材(ダンパーなど)を骨組みの部分に設け、振動や衝撃を和らげる。 耐震構造と比較すると、地震によって建物が揺れるのを抑えられる。 |
免震構造 | 地面の上に免震装置(積層ゴムと呼ばれるものなど)を設置し、地震の振動を吸収し建物に揺れが伝わるのを防ぐ。 地震時の揺れを通常の1/3程度にまで軽減。 |
さらに高層マンションの場合は「長周期地震動」といって大きな揺れが長く続く特徴があるそうで、
東日本大震災の時、西新宿の高層ビルなどでは最大1m程度の振幅で10分間以上揺れが続いたそうです。
マンション上層階の揺れは、地上で感じる揺れの2〜3倍以上となることもあるんだとか。
ちなみに、芝浦アイランドのタワーマンションは、耐震設計基準20%UPをしているそうで、地震が起きた際も、通常の超高層住宅建築物よりも揺れが少なくなるそうです。
また、耐久性や耐震性を高めるために、水セメント費50%以下のコンクリートによる十分なかぶり厚さを確保。
これは住宅性能表示における劣化等級(耐久性)において、最高ランクだそうです。
地震でタワマンのエレベーターは使えなくなる?
2019年に台風による停電・断水の際は、武蔵小杉にある47階建てのタワーマンションでエレベーター設備が故障し、
高層階に住む人が地上に降りられなくなる「高層難民」が問題になりました。
高層階に住む人は、地震により地上へ降りられなくなると大きなリスクです。
建築基準法では、震度6強~震度7の大きな地震に対してエレベーターかごの脱落等の防止をすることや、
一定以上の揺れを感知した際は、自動的に最寄りの階に停止し扉を開ける、地震時管制運転装置の設置が義務付けられています。
さらに高さ31メートル以上の建築物には、非常用エレベーターの設置も義務付けられています。
そのためほとんどのタワーマンションには非常用エレベーターが設置されていて、震災による停電時にも予備電源で動けるようになっています。
ただ、多くの人が住むタワーマンションで、予備電源だけで何度も往復できるのでしょうか。
東北大震災の時は、急病人やけが人が発生した際の緊急事態に備えるため、首都圏で非常用電源を使ってエレベーターを動かしたマンションはほとんどなかったと言います。
その結果、東北大震災では6時間以上停電が続き、翌日まで停電が続いたマンションもあったそうです。
しかし東北大震災以降、もっと長時間の非常用電源が必要だと言われるようになり、今では多くのマンションが24時間分、マンションによっては72時間〜1週間分の非常用電源を蓄えるようになったとか。
なのでマンションによって、そして地震の規模によっては、復旧まで非常用電源でエレベーターが稼働することもできるかもしれません。
ただ、あまりあてにせず、使えないことも想定しておいた方が良さそうです。
また、マンション選びの際に、確認しておくといいですね。
なお、非常用発電機は1つあたり数千万円〜1億円かかるそうなので、電源が豊富と言うことは、それだけ費用もかかっていると言うことになります。
では通常のエレベーターはいつ復旧するのでしょうか。
エレベーターの復旧の順番は日本エレベーター協会が優先順位を設けており、閉じ込められた人の救出、病院、市役所など公共施設が優先。
タワーマンションのエレベーターの再稼働には、4日以上の時間がかかる可能性があるそうです。
タワーマンションの地震対策と在宅避難の備えとは?
タワーマンションは大地震が起きても倒壊する恐れは少ないです。
また、避難所の受け入れ人数にも限界があるため、大規模住宅であるタワーマンションの住民が皆避難所に殺到したら大変なことになります。
そのため、タワーマンションに住む人は、自宅が居住可能であれば、基本的には自宅で生活を続ける「在宅避難」が原則となります。
そのため、在宅避難のための備えをしておく必要があります。
住まいの安全対策をする
マンションの建物自体が倒壊しなくても、室内が大きく揺れることで転倒したり、家具が激しく倒れたりする被害が予想されます。
地震が起きても被害を最小限にできるよう、背の高い家具は家具転倒防止器具で固定したり、家具の配置を工夫しておく必要があります。
水、食料、携帯トイレを7日分備蓄する
最大震度7クラスの首都直下型地震が起きた場合、電気の完全復旧まで最長7日間、上下水道は完全復旧まで最長1ヶ月かかると言われています。
特にエレベーターが通常通り稼働できない場合、高層階は自宅から出るのも大変なので、自宅から7日間は外に出なくても大丈夫なよう備えておくと安心。
また、地震でマンション内の排水管が壊れた場合、トイレや台所などから水を流すと低層階で水が漏れて大変なことになる可能性があります。
東日本大震災でも、上層階の住民が流した汚水が下層階で逆流、あふれ出す被害が多発したそう。
そのため、トイレが流せなくても大丈夫なよう、携帯トイレを備えておく必要があります。
また、食料も、なるべく電力やガスを使わない常温のものを備えておくと安心。
停電中でも使えるポータブルガスコンロやランタンなどがあればなお良いでしょう。
在宅避難のお勧めグッズ
まとめると、在宅避難には以下のものが必要です。
水 人数×7日分(一人当たり1.8Lペットボトル12本分)
食料 人数×7日分
携帯トイレ 人数×7日分
カセットコンロ
ランタン、懐中電灯
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タワーマンションの地震対策まとめ
倒壊の恐れが少ないタワーマンションでは、自宅での備えが何より肝心。
逆に言えば、それさえしっかりしていれば、大地震が起きても比較的リスクは少なく、自宅にいるのが一番安全とも言えるかもしれません。
もちろん油断は禁物ですが…。
また、いざと言うときはマンションの住民同士、助け合って乗り越えたいですね!
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